製造請負・派遣事業の業界団体、日本BPO協会がこのほど発表した「製造請負・派遣事業動向調査」によると、7月度の業況判断DIはプラス26となり、前回の4月度(プラス6)に続いて2四半期連続のプラスとなった。新型コロナの影響で昨年7月度はマイナス57と極端に落ち込んだが、取引先の休業が限定的となり、人材ニーズも回復基調。需要が高まっている分野では、新規の採用が難しくなっている。
業況判断DIは、「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた数値。調査は7月13日から27日に実施。回答企業数68社、回答率75.6%。同協会が会員企業の協力を得て四半期ごとに調査しており、11年4月の調査開始以来、今回で42回目となる。
業況判断DIがプラス20以上となるのは、2019年4月度以来9四半期ぶり。その理由として、「取引件数が増加し、在籍数も増えている」「自動車関連分野を中心に人材需要が回復している」といった回答があった。人材不足については「新規の入職者が不足し、取引先の要求に十分に応えられていない」「採用ならびに定着率に苦戦している」などの声が聞かれた。
また、先行き3カ月後の予測DIはプラス34で、さらに改善が進むと期待している。理由として「生産計画の上方修正や販売業の来客数が増加している」「コロナ収束の流れにもよるが、生産状況はしばらく増加傾向」などが挙がる一方、「人材確保が一段と厳しくなり、変異ウイルス拡大の現状をみると先行きは厳しい」と慎重な声もあった。
このほか、スタッフ社員(派遣・請負)の判断DI(不足―過剰)はプラス90で、4月度(プラス84)に比べて更に6ポイント上回った。感染拡大前の水準と同等に近付いている。回答企業68社の21年6月末現在の雇用人数は15万454人で、このうち、スタッフ社員が14万2302人だった。スタッフ社員の内訳は派遣社員11万2394人、請負社員2万9908人。