東京商工リサーチが19日発表した最低賃金(最賃)引き上げに関する企業調査によると、83.4%にあたる大多数の企業が「当面の人事戦略への影響はない」としているが、5.4%にあたる約500社は「非正規従業員を削減する」と答えたことがわかった。同時に、「正規従業員を増やす」企業が9.8%にあたる914社にのぼり、最賃の及ぼす影響が一様ではないことがわかった。
最賃は今年、全国平均で28円(3.1%)の大幅アップが決まったが、「人事戦略に影響なし」と答えた企業を規模別にみても、大企業(資本金1億円以上)が89.7%、中小企業(同1億円未満)でも82.3%にのぼり、大多数の企業は最賃アップを気にしない様子。すでに最賃を超える人件費水準にあることがうかがわれる。
ただ、「非正規を削減する」と答えた企業では、大企業の3.6%に比べ、中小企業は5.7%と高かった。また、「正社員を増やす」は大企業の6.7%に対して、中小企業は10.4%と高かった。同社は「非正規の低賃金のメリットが最賃上昇で薄れ、正社員の人材確保に意識が強まっているのではないか」と分析している。
調査は2~11日に実施し、有効回答を得た9278社分を集計した。うち、大企業は1464社、中小企業は7814社。