厚生労働省は13日、都道府県ごとに決める2021年度の地域別最低賃金について、全都道府県の改定額が出そろった、と発表した。中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)は全国一律で3.1%アップにあたる28円(加重平均)の引き上げを目安としたが、目安通りの結果となった。これにより、平均改定額は930円となり、引き上げ額は1978年の目安制度開始以来の最高となる。新しい最低賃金は10月1日以降、順次適用される。
28円引き上げるのは東京都など40都道府県で、青森、山形、鳥取、佐賀の4県が29円、秋田県と大分県が30円、島根県が32円と目安を超えている。最高の東京都は1041円、最低の高知、沖縄両県は820円となり、両者の開きは21.2%で、前年より0.6ポイントより縮小した。
通常、目安は賃金水準の高低によってA~Dランクに分かれ、各ランクに応じた目安が示されるが、同審議会は今回、全国一律の引き上げ額を提示。地域による格差是正の観点から、水準の低いDランクの7県で目安を超える引き上げとなった。
最低賃金は昨年、新型コロナウイルスの感染拡大による先行き不透明から、同審議会は「現行水準維持が適当」として引き上げの目安を示さず、その結果、1円増の902円、0.1%の引き上げにとどまった。今年はその"反動"で大幅引き上げとなったが、経営余力の乏しい中小企業団体などから強い反発が出ている。