東京商工リサーチが3日発表した上場企業の雇用調整助成金(雇調金)の計上・申請は、昨年4月から今年6月までに807社にのぼり、上場企業全体の20.9%に達したことがわかった。同社は、緊急事態宣言の出た東京、沖縄に続いて埼玉など首都圏3県や大阪府も宣言下に置かれたことから、消費活動への打撃は避けられず、雇調金の計上はさらに増勢をたどると予想している。
このうち、計上額が判明した715社の合計は約4667億円に上り、昨年11月の約2415億円から2倍近くに達している。計上額で最も多いレンジは1億円未満の282社で、次いで1億円以上~5億円未満が272社となっている。
業種別では製造業が321社、約1003億円で企業数は最多。観光などのサービスが150社、約960億円、外食を含む小売業が150社、約840億円となっている。計上額では航空・鉄道を含む運送業が49社、約1469億円でトップだった。
コロナ禍で売り上げ不振にあえぐ企業にとって、雇調金は雇用維持を図る"頼みの綱"となっており、政府は特例措置の期限を年末まで延長する方針。しかし、雇用保険の財源がひっ迫しており、同社は「雇用保険料の引き上げも取りざたされている」としている。