厚生労働省は28日、「無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査」の結果を公表した。それによると、労働契約法に基づく「有期通算5年で無期転換」について「知らない」と回答した事業所は7.2%だったのに対して、当事者である有期契約労働者は39.9%に上った。また、無期転換の申し込み権利が生じた人のうち、「行使した」は約3割、「行使せずに継続雇用」は6割超、「退職した」が1割未満だった(2018年度と19年度の合算)。年度別では18年度に「行使した」割合は32.4%であったのに対し、19年度は19.8%に減少した。
この調査結果は同日、厚労省の有識者会議「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(山川隆一座長)に示され、厚労省が概要を説明した=写真。同調査は「無期転換ルール」と「多様な正社員」について、それぞれ企業と個人に聞いた大規模なアンケート調査で、「無期転換ルール」では5662事業所(有効回答率49.4%)、6670人(同66.6%)から有効回答を得た。
2013年4月に施行された労契法の「無期転換ルール」は、同じ企業との間で有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換される制度。18年4月から権利行使できる労働者が出ている。同検討会では、勤務地限定や職務限定などの「多様な正社員」の雇用ルールについても議論し、今秋にも報告書を取りまとめ、労働政策審議会の「たたき台」となる見込みだ。
今回のアンケート結果を踏まえ、8月からは「無期転換ルール」について(1)無期転換を希望する労働者の転換申し込み機会の確保、(2)無期転換前の雇い止め、(3)通算契約期間およびクーリング期間、(4)無期転換後の労働条件、(5)有期雇用特別措置法の活用状況――など。「多様な正社員」は主に「雇用ルールの明確化」について検討する。
この日の会合では...
※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。