厚生労働省は30日、2020年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を発表した。それによると、総合件数は129万782件(前年度比8.6%増)と大きく増えたが、そのうち民事上の個別紛争相談は27万8778件(同0.2%減)、労働基準法違反が疑われる件数は19万961件(同2.7%減)とやや減少した。
総合件数はリーマン・ショック直後の09年度の約114万件をピークに減少傾向をみせたが、15、16年度と2年連続で上昇に転じ、17年度は再び約110万件に減少、18年度の再上昇と"一進一退"の状態が続いていたが、19、20年度と3年連続の増加となった。
これに対して、民事上の相談件数はほぼ一貫して増加が続き、18、19年度と2年連続で過去最高を更新したが、20年度は微減となった。このうち、労働局長による助言・指導の申し出が9130件(同7.5%減)、紛争調整委員会によるあっせん申請が4255件(同18.0%減)となった。コロナ禍で活動が思うようにできなかったことが原因とみられる。
民事上の相談件数(延べ34万7546件)のうち、最も多かったのは「いじめ・嫌がらせ」の7万9190件(同9.6%減)で、次いで「自己都合退職」の3万9498件(同1.5%減)、「解雇」の3万7826件(同9.4%増)などが上位を占め、例年と同じ傾向だった。「いじめ・嫌がらせ」は過去12年で急増しており、20年度は減少したものの、9年連続でトップとなっている。また、ここには昨年6月から施行されたパワハラ防止法に基づくパワハラの1万8363件は入っていない。
一方、解雇と同様に、「雇い止め」も1万5056件(同14.8%増)、「退職勧奨」も2万5560件(同12.3%増)と急増しており、コロナ禍の影響を強くうかがわせた。