厚生科学審議会の難病対策委員会と社会保障審議会の小児慢性(小慢)特定疾患児支援委員会の合同委員会(千葉勉委員長)が6月30日にオンラインで開かれ、事務局の厚生労働省が提示した「難病・小慢対策の見直しに関する意見書」を基本了承した。この意見書を受け、厚労省は法改正などの作業に入る。
見直しは2015年に難病法と小慢法(改正児童福祉法)が施行された当時、「5年後の見直し」を規定していたため、19年から同委員会で包括的な議論を重ねてきたもの。しかし、20年に入って新型コロナウイルスの感染が拡大したことから、作業は度々中断され、このほどようやく議論の集約に至った。
意見書は「研究・医療の推進(良質かつ適切な医療の充実」と「地域共生の推進(療養生活支援の強化)」の2部構成。
「研究・医療の推進」では医療費助成、医療提供体制、調査及び研究の3項目に分かれ、(1)医療費助成対象を従来の申請時から重点化が判明した時点に前倒しする(2)難病、小慢データベース(DB)の連結とオンライン化(3)軽症者への「登録者証」発行とデータ登録――が柱となっている。
「地域共生の推進」では療養生活の環境整備、福祉支援、就労支援、小慢自立支援事業の強化などに分かれ、(1)難病相談支援センターの役割の強化(2)地域協議会の充実(3)支援センターとハローワークの連携強化(4)任意事業の活性化を中心とした自立支援事業の充実と、医療的ケア児や障害児関連施策との連携促進――が柱となっている。
難病10疾病と小慢29疾病、指定難病委で検討
一方、専門医らで構成する指定難病検討委員会(水澤英洋委員長)や小慢委員会でも、新たに難病や小慢に加える疾病について検討を始めた。
このうち、難病はCASK異常症、コーエン症候群など10疾病が新たに加わり、これまで"候補"に挙がっていた疾病と合わせて48疾病について指定を検討している。また、小慢についてはギャロウェイ・モワト症候群など29疾病が候補に挙がっている。
両委員会はこれらの疾病の指定の可否を決定した後、難病については現在指定されている333疾病のうち、研究班から新たな情報提供のあった182疾病について診断基準などの変更を行うかどうか検討するが、小慢については今回は見送った。厚労省は両委員会の決定を受け、今秋には施行したいとしている。