製造請負・派遣事業の業界団体、日本生産技能労務協会は22日、都内で2021年定時総会を開き、活動領域の拡大を見据えて協会名を「日本BPO協会」に変更することを決めた=写真・上。7月1日付で改名する。また、任期満了に伴う役員改選で17人の理事を選任。臨時理事会で会長に清水竜一氏(日総工産社長兼CEO)を選出し、新たな三役体制を決めた。清水会長は2017年10月以来の再登板で、「従来の製造分野からアウトソーシング全般に領域を広げ、変化の激しい時代に対応していこう」と力を込めた。
技能協は2020年1月、創立30年の節目に「将来ビジョン2030」を策定。この中で「製造・物流分野を軸としつつ、活動領域を技術、販売、バックオフィス、行政サービスなどに拡大し、広くアウトソーシング全般を対象とする」と盛り込み、具体的な方策や体制のあり方などを検討してきた。これに一定のメドがついたことから改名に踏み切った。当初は昨年春に動き出す予定だったが、新型コロナ感染防止と雇用維持に注力するため先送りとなっていた。
「BPO」は、ビジネスプロセスアウトソーシング(Business Process
Outsourcing)の略称。業務プロセスの一部を一括して専門業者に外部委託する場合に使われ、発注する企業は、経営資源のコア業務への集中やコスト削減、固定費の変動費化のみならず、より優れた業務品質を実現し、顧客への提供価値を高めることが可能となるとされている。同協会は「会員企業がビジネスプロセスアウトソーシングを通じて、発注企業とともに発展するとの気持ちを込めた」としている。
新たに選任された理事は17人で、14理事が再任=写真・下。三役は清水会長をトップに、理事長が平尾隆志氏(フジアルテ社長)、副理事長は青木秀登氏(ランスタッド執行役員)と齋藤哲一氏(三幸コーポレーション社長)、専務理事に新宅友穂氏(技能協)が就いた。新たな理事3人のうち、栗山勝宏氏(ワールドインテック社長執行役員)と山内次英氏(フジワーク常務)は初、出井智将氏(ヒューコムエンジニアリング社長)は2017年5月以来2期ぶりの再登板となる。
「人材サービス業の領域拡大」をテーマにパネルディスカッション
総会後にはオンラインで協会会員対象の講演会を開き、厚生労働省職業安定局民間人材サービス推進室の高西盛登室長が挨拶。佐藤博樹・中央大学大学院教授の司会で、製造請負・派遣以外の新分野に積極的に進出している会員企業の土肥貞之・ウィルオブ・ファクトリー社長▽栗山勝宏・ワールドインテック社長執行役員▽青木秀登・ランスタッド執行役員の3人がパネリストとなった。
土肥氏は、介護施設などへの人材派遣・紹介事業、栗山氏は多種類のカリキュラムを提供する人材教育ビジネス、青木氏は外国人留学生の日本語や就活の支援モデルや公共サービス事業への進出など、自社のこれまでの取り組みについて具体的に説明。参加者からは「どういう部署で、誰が進出を検討するのか」「うまく行かずに撤退する場合、その基準はあるのか」などの質問があがり、視聴した会員と踏み込んだ質疑応答で「領域拡大」のポイントや着眼点を掘り下げた。