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2021年6月15日

「デジタル革命とポスト・コロナに挑む」渡部会長、人材協21年度総会 医療・介護・保育分野の「認定制度」運営も

 ホワイトカラーを中心とした民間職業紹介の事業者団体・日本人材紹介事業協会(渡部昭彦会長)は15日、東京都内で会場とオンライン参加の併用で2021年度定時総会を開いた=写真。労働力需給調整システムの機能を担う仕組みが多様化し、サービスの普及が一定の秩序を超えて拡大するケースも想定される中、求人者・求職者の不利益につながりかねない負の部分を極小化していく責務を共有。厚生労働大臣の許可事業として、規制を受けつつ事業を発展させ、社会的な要請に応えていくことを確認した。

n210615.jpg 総会で、渡部会長は「新型コロナの影響で紹介事業の売り上げが前年に比べて2割ほど落ちた。一方で、加速するデジタル革命の中で企業の人材投資は旺盛で、私たちのビジネスチャンスも増すと捉えてよい」と分析。そのうえで、「DX化の波で業界の構造自体も変わる。紹介事業に近い存在として求人メディアがあり、とりわけ新形態を中心に人材を仲介するビジネスもさまざまな展開が起きてくる。どこに我々の立ち位置を確立させていくべきか、そこが大きな経営の選択となる」と、変革を前にひるまず挑戦していく姿勢を示した。

 21年度は、職業紹介事業がアフター・コロナの経済社会に求められる対応を念頭に、(1)雇用問題に造詣の深い有識者との連携強化(2)ブロック会・地域活動の活性化と会員拡充、(3)ビジネスモデルが共通する会員同士による課題検討や相互交流の積極展開、(4)適時・的確な情報提供、(5)人材紹介コンサルタント資格制度による取得者拡大――などを積極的に推し進める。

 このほか、特筆される活動としては、厚生労働省の委託事業である「医療・介護・保育分野における職業紹介事業の適正化」に関する事業運営の拡充だ。前年度に手数料を含む適正な基準を策定しており、本年度は基準に基づく「認定制度」の構築と運営が軸となる。

 総会後の講演会では、5月に労働政策審議会の会長に就任した清家篤氏(日本私立学校振興・共済事業団理事長、慶応義塾学事顧問)が「社会の支え手を増やすための働き方改革」と題して講演した。


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