日本生産技能労務協会が24日発表した「製造請負・派遣事業動向調査」によると、4月度の業況判断DIはプラス6となり、昨年7月度(マイナス57)を底に回復基調をたどっていた業況は5四半期ぶりにプラスに転じた。業種間でバラつきはあるものの、新型コロナの影響による取引先の休業が限定的となり、人材ニーズも回復傾向にある。人材需要が高まっている分野では、新規採用が難しくなっている。
業況判断DIは、「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた数値。調査は4月7日から22日に実施。回答企業数67社、回答率75.3%。技能協が会員企業の協力を得て四半期ごとに調査しており、11年4月の調査開始以来、今回で41回目となる。
業況判断の理由として、「業種によるが、需要が増加傾向」「取引先の生産状況がコロナ前に戻りつつあり、増員や欠員が増えてきている。一方で、求職者が少なく人材確保に苦戦」といった回答があったほか、人材不足に関して「都道府県をまたぐ移動の制限や新規就業者の入場制限などの影響を受けている」などの声が聞かれた。
また、先行き3カ月後の予測DIはプラス15。さらに回復が期待できる理由として「減産傾向の取引先が少なく、ある程度のオーダー確保と新規取引先獲得が一定数見込める」「各産業分野で業績見通しが好転」などが挙がる一方、「半導体の供給不足や感染拡大、米中関係の悪化など先行きの不透明感は依然として残っている」と慎重な回答もあった。
このほか、スタッフ社員(派遣・請負)の判断DI(不足―過剰)はプラス84で、1月度(プラス71)に比べて13ポイント上回った。80を超えたのは19年10月度調査以来6四半期ぶりで、感染拡大前の水準に近付いている。回答企業67社の21年3月末現在の雇用人数は14万1274人で、このうち、スタッフ社員が13万2561人だった。スタッフ社員の内訳は派遣社員10万3943人、請負社員2万8618人。