厚生労働省が7日発表した毎月勤労統計の3月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は28万2164円(前年同月比0.2%増)で、12カ月ぶりのプラスとなった。昨年4月から今年2月まで11カ月連続でマイナスが続いていた。実質賃金指数(2015年=100)も87.5(同0.5%増)で2カ月連続のプラスとなった。
しかし、就労形態別にみると、正社員が中心の一般労働者が同0.3%減、パートタイム労働者が同0.8%減と2月に続いてどちらも減少。厚労省によると、3月末の常用労働者5127.3万人(同0.7%増)のうち、一般労働者が3536.6万人(同1.7%増)に対して、パート労働者は1590.6万人(同1.1%減)。給与の高い正社員が増え、低いパートが大きく減ったため、全体の1人あたり平均額ではプラスとなったもの。
1月8日から3月21日まで首都圏(1都3県)などで実施された2回目の緊急事態宣言の影響によるとみられ、非正規労働者の雇用環境の悪化を裏付けている。
給与のマイナス幅の大きかった産業は、「学術研究」の同6.3%減、「金融・保険」の同4.0%減など。逆に「鉱業・採石」は同6.2%増、「不動産・物品賃貸」も同5.4%増となった。
月間総実労働時間は137.6時間(同0.4%増)で、5カ月ぶりのプラス。パートタイム比率は31.02%(同0.59ポイント減)で、2月より0.26ポイント低下し、正社員比率が上昇している。