東京商工リサーチが19日発表した上場企業の雇用調整助成金(雇調金)調査によると、昨年4月から始まった雇調金の特例措置が3月末で1年が経過し、雇調金を計上・申請した企業は703社、計上額は3633億9980万円だったことがわかった。企業数は上場企業全体の18.3%に上る。
業種別では製造業が271社、計上額約776億円で最も多く、観光を含むサービス業が各139社、約753億円、小売業が134社、約627億円の順。ただ、航空・鉄道を含む運送業は44社だが、計上額は約1158億円に達し、減便対応に苦慮していることがうかがえる。また、コロナ禍の長期化により、サービス業で申請社数、計上額とも増加傾向にある。
政府は2021年度予算で雇調金予算を6117億円計上したほか、短時間パートタイマーを対象にした緊急雇用安定助成金を124億円が計上しているが、5月からは雇調金の特例措置を段階的に縮小する計画だ。
しかし、同社によると、サービス、交通インフラ、外食を含む小売りなど、コロナ前の業績回復が難しい業種を中心に、店舗などの規模縮小や人員削減に着手する企業も散見されるとして、「今後、こうした業種を中心に、事業のスリム化による雇用への影響が懸念される」と懸念を強めている。