厚生労働省は31日、2020年「賃金構造基本統計調査」概況を発表した。それによると、平均賃金は30万7700円(前年比0.6%増)となり、16年の横ばい以来、4年連続の増加となった。
男女別では男性が33万8800円(同0.8%増)、女性が25万1900円(同0.8%増)と男女とも伸び、女性は過去最高。男女間の賃金格差(男性=100)は74.4で前年を0.1ポイント下回り、比較可能な1976年以降の最小となった。
雇用形態別では、正社員が32万4200円(同0.0%、42.2歳、勤続12.5年)、非正規社員が21万4800円(同2.5%増、48.8歳、勤続8.7年)となり、非正規の増加が際立つ。両者の賃金格差(正規=100)も66.3(同1.4ポイント減)と縮小した。
産業別では、男性で最も高いのが「金融、保険」の47万9200円で、「教育、学習支援」の42万9400円が続いた。逆に、「宿泊、飲食サービス」が27万8200円で最低。女性は「情報通信」が31万5500円で最も高く、ついで「教育、学習支援」の30万6900円。「宿泊、飲食サービス」が最低の20万9600円だった。
短時間労働者の時給は1414円(同8.4%増)と大きく伸び、男女別では男性が1658円(同2.9%増)、女性が1323円(同11.7%増)。女性が賃金引き上げをけん引している。
一方、外国人労働者の賃金は21万8100円(同3.1%減、33.3歳、勤続2.7年)で、資格別では「専門・技術」が30万2200円(同6.7%減)で最も高く、「技能実習」は16万1700円(同2.5%増)。
同調査は毎年6月分の賃金などについて7月に実施。今回は全国7万8181事業所を対象に実施し、そのうち10人以上の常用労働者を雇用する4万8007事業所から有効回答を得た。ただし、今回は郵送調査の不正の是正に伴う推計方法の変更、新型コロナウイルスの感染拡大による対象数の減少などがあり、厚労省は「比較には注意が必要」としている。