厚生労働省は25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って拡大してきた雇用調整助成金(雇調金)などの特例措置を5月から段階的に縮小すると発表した。4月末まで、現行の特例措置を一律適用するが、5~6月は企業の経営状況などによって格差を設け、7月以降は雇用情勢の悪化がない限り、さらに縮小する方針だ。
現行の雇調金は従業員1人1日あたり1万5000円を上限に、助成率は最大100%。休業手当を受け取れなかった労働者に支払う休業支援金・給付金は1人1日あたり1万1000円を上限に、休業前の賃金の80%を支払うことになっている。
5月以降、雇調金は上限を1万3500円、助成率を中小企業は最大90%にする。休業支援金も上限額を9900円に引き下げる。ただし、まん延防止重点措置対象地域の営業短縮企業や業況が厳しい企業には現行と同じ措置を続ける。休業支援金の場合も同じ適用条件とする。
雇調金は昨春以降、数回にわたって対象内容の拡大と適用延長を繰り返してきたが、これらは雇用維持のための短期的な救済措置であり、専門家からは長期化すれば経済全体の停滞を招く恐れがあり、低迷産業から新産業への労働移動も進まない、との指摘が出ていた。