日本人材派遣協会(田﨑博道会長)と連合(神津里季生会長)は16日、新型コロナウイルス感染防止に伴うテレワークの導入など「新たな日常」に対応するための就業環境の変化を捉え、「労働者本位の視点に立ったウィズ/アフター・コロナ時代における新しい働き方の確立」を目指す「共同宣言」を取りまとめた。派遣協と連合は2010年以降、派遣労働者が安心して働くことができる環境整備に向けて継続的に対話を重ねており、今回の共同宣言は10年、16年、20年に続いて4回目。
社会の動きを敏感に捉えた協議を続けている派遣協と連合は今回、派遣協が労働力の需給調整という重要な社会的機能を担う事業者団体として、連合が労働組合のナショナルセンターとして、「安心・安全で働きがいのある仕事が得られる機会が確保され、適正に処遇されることが喫緊の課題」であると明記した。
そのうえで、派遣協は20年4月施行のいわゆる「同一労働同一賃金」に関する新たな法制度の順守と徹底、雇用確保と就業機会の創出に取り組む。また、派遣就業をする人たちへの適正処遇の推進・キャリア形成支援をさらに推進する。連合は、雇用対策に全力を尽くすとともに、就業形態にかかわらず誰もが自らの能力を発揮し、適正に評価される職場環境の実現に向け、取り組みを推進。また、安定雇用の前提となる健全な労使関係の確立、均等・均衡処遇の実現に向けた
動きも推し進める。
オンラインで開催した意見交換と共同宣言には、派遣協の田﨑会長=写真上=ら6人、連合は相原康伸事務局長=写真中=ら幹部8人が参加。それぞれがコロナ禍に対応した活動などについて報告した後、多面的に活発な意見を交わした。
今回の共同宣言を交わした田﨑会長は「コロナ禍の影響は、労働を取り巻く環境変化を一段と加速させている。仕事の需要にも大きな変化がある中で、多様な働き方のニーズを踏まえながら、派遣の仕事を提供するには就業機会の創出に向けた取り組みもますます重要になってきた」と説明。「本人のキャリア志向に応じた教育・研修機会の提供などを行い、新たな業種・職種における就業機会の創出にも、力を入れて取り組んでいく」と強調した。
相原事務局長は「いかなる雇用形態であっても高い付加価値が得られ、社会の前進と成長につながるようにともに努力していきたい」と更なる連携強化を求め、「コロナ禍前から存在した少子高齢化や経済の格差などの課題解決を探りながら、よりよい柔軟な働き方をどのように一人ひとりに提供していけるのか、お互いの知見を共有していきましょう」と呼び掛けた=写真下。
派遣協と連合は、法整備に関連した共同宣言のほかにも、19年に長時間労働の是正に向けた宣言も締結している。
【関連記事】
派遣協と連合、「安心して働ける環境整備」に向けて共同宣言
ウィズコロナ時代の取り組み強化へ(2020年7月28日)