労働者派遣法で原則禁止されている「看護師派遣」について、厚生労働省は29日、「へき地の医療機関への看護師などの派遣」と「社会福祉施設などへの日雇い派遣」を解禁することを決めた。同日開かれた労働政策審議会労働力需給制度部会(鎌田耕一部会長)に、条件付き解禁を盛り込んだ改正政令案要綱を示し、了承された=写真。施行は4月1日。厚労省は、適切な事業運営と雇用管理を図るためのルールなどについて、派遣先と派遣元双方に周知徹底を急ぐ方針だ。
派遣法上の「看護師派遣」を巡っては、昨年11月の本格議論開始から計6回にわたり、関係団体のヒアリングを実施するなど、医療政策上の観点と労働政策上の視点から迅速かつ丁寧に進めてきた。
現在、看護師など(看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師)の派遣は福祉施設のみ認められており、病院などへの派遣は原則禁止。また、原則禁止の日雇い派遣において、看護師は例外業務の対象ではなく、業務の場所を問わず禁止されている。今回の政令改正は、「単なる派遣解禁」ではなく、看護師などの「へき地に限定した派遣」と「社会福祉施設などに限定した日雇い派遣」に絞られている。後者は看護師のみ。
この日は、運営上の「対応策」と改正政令案要綱の両方に対する「了承」を踏まえ、労使がこれまでの議論を総括。労働者側は、へき地派遣について「派遣元と派遣先における研修、教育訓練が確実に実施されるよう厳格に指導監督してほしい」と念押し。日雇い派遣に関しては「不安定雇用の際たるもので、労働者保護の観点から問題ありとの見解に変わりはない。コロナ禍の看護師不足における緊急事態に対応した例外として容認する」と強調した。
一方、使用者側は日雇い派遣について「今回は看護師の例外業務が追加されたが、時代の変化に対応しつつ派遣社員と派遣先のニーズをしっかり制度に反映させることが必要と考えている」と指摘。「今後は新型コロナの派遣社員への影響について検証し、併せて中間整理で留まっている派遣法の(2012年改正と15年改正の)点検、見直し作業を進めていくべき」と述べた。
このほか、省令(指針)改正で4月1日から厳格適用する、職業紹介事業者が「お祝い金」を提供...
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