経団連は26日、賃金交渉の方針や働き方に関する「労使フォーラム」をオンラインで開いた。連合など労働組合トップが出席し、今年の春闘が事実上スタートした。今年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、業種間、企業間の業績格差が開いたこともあり、経団連は個別企業や各業界の実情に応じた「脱・横並び」の賃金決定を呼びかけた。
中西宏明会長は病気療養のため欠席し、久保田政一事務総長が発言を代読し、今年の交渉では「一律でなく、自社の実情にあった賃金決定の重要性を呼びかけている」と説明した。新型コロナで観光・サービス業を中心にした業界は経営環境が厳しいことを念頭に置き、賃上げよりも「事業の継続と雇用の維持」を最優先するよう求めた。
これに対して、連合は雇用確保と賃上げを同時に実現するよう経団連に要望し、具体的には2%程度の賃上げを掲げている。しかし、コロナ禍の長期化で非正規労働者を中心にした雇い止めが増加し、失業者が増えていることから、「賃金か、雇用か」をめぐり、労働側には厳しい春闘になりそうだ。