厚生労働省が8日発表した2020年「高年齢者の雇用状況」によると、65歳定年企業は18.4%(前年比1.2ポイント増)とやや増え、66歳以上でも働ける企業は33.4%(同2.6ポイント増)、70歳以上でも働ける企業も31.5%(同2.6ポイント増)に増えたことがわかった。
高年齢者雇用促進法の改正に伴い、65歳までの雇用確保措置のある企業は99.9%に達しているが、その内容は「継続雇用」が76.4%と依然として多数を占め、「定年の引き上げ」は20.9%、「定年制の廃止」は2.7%にとどまっている。
さらに、66歳以上でも働ける制度のある33.4%の企業のうち、大企業になると28.2%(同2.9ポイント増)で少し増えた程度。内容も、「基準該当者の継続雇用」が10.9%で最も多く、「希望者全員」は7.5%、「定年制の廃止」は2.7%、「66歳以上定年」は2.4%どまりだ。
法改正によって働く高齢者は年々増えているものの、その大半は「60歳定年」で、退職後は契約社員、嘱託社員などの身分になり、業務内容は同じでも給与が減るケースが多く、中には訴訟になっているケースもある。また、定年後は"余生"扱いで有効活用に消極的な企業も少なくないことから、高齢者雇用制度の根本的な見直しを迫られている。
60歳以上の常用労働者は約409万人で、09年当時と比べ約193万人増えている。調査は昨年6月1日時点の状況について、従業員31人以上の16万4151社を集計。従業員31~300人を中小企業、301人以上を大企業に区分している。