東京商工リサーチが25日発表した雇用調整助成金(雇調金)調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇調金の特例措置を計上・申請した上場企業は4~11月で599社に上ることがわかった。上場企業全体の15.6%にあたり、計上額は2414億5420万円に上る。
業種別では製造業が237社で最も多く、小売業の121社、サービス業の114社、運送業の41社などが続いている。計上額では1億円未満が273社で最も多く、1億円以上~5億円未満が173社、10億円以上~50億円未満が48社となっている。
政府は雇用の維持に向け、4月に雇調金の支給要件を大幅緩和した特例措置を実施。中小企業は最大100%、1日1人あたり1万5000円を上限とし、大企業にも休業手当の4分の3を助成するなどしている。さらに、感染の長期化に対応するため、12月末の期限を来年2月末に延長した。当初・補正なども合わせた予算規模は3兆円を超える。
しかし、11月になって感染の第3波が押し寄せ、感染の多い地域のGoToトラベルの一時停止や飲食業への時短再要請など、実体経済への影響は深刻さを増しており、年明けの景気情勢は予断を許さないことから、同社は「労働市場が縮小し、流動性も見込めない中、特例措置の終了後も雇用維持を促す新たな施策が必要になる」とみている。