厚生労働省が25日発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.06倍になった。2カ月連続の上昇で、10カ月ぶりに反転した10月からの勢いを維持している。単月では14年2月と同じ水準で、下降局面では06年後半~07年前半と同水準。都道府県別(就業地別)では福井県の1.61倍が最高で、最低は沖縄県の0.79倍だった。
新規求人倍率は2.02倍で前月比0.20ポイント上昇した。しかし、新規求人数(原数値)は前年同月比21.4%減で、10月とほぼ同じ水準。業種別では前月までと同様に、宿泊・飲食サービス業の同34.7%減、情報通信業の同33.4%減、生活関連サービス・娯楽業の同32.9%減、卸・小売業の同27.4%減などが目立った。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の0.80倍となった。
一方、厚労省がハローワークなどを通じて集計している解雇・雇い止め数(見込みを含む)は24日時点で7万8979人。今後、求人数の減少に歯止めが掛かり、求人倍率が再び上昇するかどうかは不透明。厚労省は11月から本格化している感染の第3波の動向を注視している。
11月の完全失業率、0.2ポイント改善の2.9%
総務省が25日発表した11月の就業者数は6707万人で、前年同月比55万人減と8カ月連続で減少した。完全失業者は195万人で同44万人増え、10カ月連続の増加となった。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の2.9%と再び2%台になった。悪化傾向で比較すると、バブル崩壊が本格化した1994年当時と同じ水準。内訳は男性が前月から0.2ポイント改善の3.2%で、女性も0.3ポイント改善の2.4%。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5671万人のうち、正社員は3547万人と前年同月比21万人増だったのに対して、非正規社員は2124万人で同62万人減。非正規ではパートが1060万人(同15万人増)、アルバイトが462万人(同36万人減)、契約社員が270万人(同7万人減)、派遣社員が141万人(同6万人減)、嘱託が105万人(同19万人減)となり、人数の多いパートがプラスに転じた。非正規比率は前月比0.1ポイント増の37.5%。
また、11月の休業者は176万人と前月比6万人増、前年同月比15万人増となり、再び増加傾向にある。