日本人材紹介事業協会が10日発表した2020年度上半期(20年4月~9月)の会員大手3社の転職紹介実績(速報値)によると、転職紹介人数は3万4983人(前年同期比16.5%減)となり、08年のリーマン・ショック以来のマイナスに転じた。新型コロナウイルス感染拡大が転職市場を直撃した格好。伸び率の増減はあったものの、10年度上半期から10年連続で前年同期を上回る好調を続けてきた転職市場の勢いが止まった=グラフ。
調査に協力しているのは、同協会会員企業のジェイ エイ シー リクルートメント、パーソルキャリア、リクルートキャリアの3社。約10年間の推移をみると、08年のリーマン・ショックの影響で大幅に落ち込んだ09年度下半期(1万853人)を底に復調し、新型コロナの影響が出始めた19年度下半期もかろうじて前年同期比プラスをキープしていた。
20年度上半期の業界別(首都圏)では、対象の6業界のうち、「コンシューマー(飲食、旅行、サービスなど)」は6296人(同25.5%減)、「建設・不動産」が2218人(同22.6%減)と大きく落ち込んだ。また、「電機・機械・化学等製造」が4422人(同23.8%減)、「IT・通信」が5817人(同13.3%減)、「メディカル」が1987人(同11.7減)と減少した。唯一、「金融」だけは2049人(同5.8%増)とプラスとなった。
地域別では、「北海道・東北エリア」が746人(同3.0%増)、「九州エリア」が937人(同9.2%増)と前回に続いてプラスを維持したが、「首都圏」が2万2815人(同18.6%減)、「関西圏」は5997人(同17.0%減)と大幅減。「中部圏」は3567人(同10.1%減)、「中国・四国エリア」が916人(同2.9%減)と減少した。新型コロナの影響で、面接・面談などの機会が失われたことや、景気の急降下で中途採用を見合わせる企業が増えたためとみられる。
求職者の転職時の年齢は、「25歳以下」、「26~30歳」、「31~35歳」、「36~40歳」、「41歳以上」のすべての年齢層で減少した。人数で最も多かったのは「26~30歳」の1万1799人(同18.7%減)で、次いで「25歳以下」の7041人(同15.3%減)、「31~35歳」の6809人(同20.2%減)、「41歳以上」の5248人(同7.8%減)、「36~40歳」の4086人(同15.9%減)と続いた。
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