厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計の10月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は27万95円(前年同月比0.8%減)となり、7カ月連続で前年を下回った。物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(2015年=100)も83.7(同0.2%減)で、8カ月連続のマイナスとなった。
内訳は、基本給の所定内給与は24万6838円(同0.3%増)だったが、残業代などの所定外給与が1万7749円(同11.7%減)となり、4月以来の7カ月連続の二ケタ減。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う労働時間の減少による残業代の減少が続いている。夏場以降、企業活動は徐々に回復しているものの、前年並みのレベルには達していないことが主要因。
就業形態別の給与総額は一般労働者(フルタイム勤務)が34万7578円(同1.4%減)でマイナスが続いているが、パートタイム労働者は9万8142円(同0.4%増)で3カ月ぶりのプラスとなった。10月のパートの残業代は2556円(同17.3%減)で、依然として大きな落ち込み幅になっているものの、所定内給与が9万4973円(同0.9%増)に増えたため、総額も増加に転じた。
業種別で給与総額の減少幅が大きいのは飲食サービス等の同5.9%減、情報通信の同3.2%減など。一方、不動産・物品賃貸は同3.5%増、教育・学習支援も同2.8%増などと増えている。
総実労働時間は140.9時間(同0.2%増)で、9カ月ぶりに増加に転じた。残業などの所定外労働時間は9.6時間(同11.1%減)と依然として減っているが、所定内時間が131.3時間(同1.2%増)に増えたため。月末の常用雇用者は5147.3万人(同0.6%増)で、パートタイム比率は31.15%(同0.34ポイント減)と9カ月連続で低下している。