厚生労働省は14日、派遣元が「労使協定方式」を採用する際に用いる来年度適用分の一般賃金水準について、「原則として直近の統計調査を用いる」との方針を明らかにした。一方で、職種・地域ごとに一定の要件を満たし、労使で合意した場合に限り、「今年度適用している水準を用いることも可能」とする例外的対応も示した。雇用の維持・確保を主眼に置いた措置で、同日開かれた労働政策審議会労働力需給制度部会(鎌田耕一部会長)で、公労使の了承を得た=写真。局長通達として公表される一般賃金水準を巡っては、「新型コロナウイルス感染症拡大が経済と雇用に与える影響を見極めたい」として、厚労省が今年夏の公表を延期して運用のあり方を検討していた。局長通達は今月下旬に発令される見通しだ。
今年4月に施行された改正労働者派遣法は、いわゆる「同一労働同一賃金」に伴うもので、派遣労働者の賃金や待遇は「派遣先均等・均衡」か「派遣元の労使協定」のいずれかの待遇決定方式が義務化された。この選択制2方式のうち、「労使協定方式」を選んだ場合には、局長通達の一般賃金水準より同等以上であることが要件。施行初年度の現在運用されている水準は「2018年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金」(賃構統計)と、「2018年度職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額」(ハロワ統計)の2種類が基になっている。通常であれば、毎年6~7月をメドに来年度適用分の局長通達が公表される。
「労使協定方式」を選択している事業所は、厚労省調査の速報値で約9割を占めている。この日、同部会で了承された運用方法を整理すると、一般賃金水準については「原則として、直近の2019年(度)の統計調査を用いる」とする一方、雇用維持・確保の観点から「例外的な対応として現在の18年(度)の統計調査を用いることも可能」とした。例外的取り扱いを用いる要件として、新型コロナの影響による事業の縮小状況などを具体的に示して労使で十分に議論することや、労使協定に例外を用いる理由を明確に記載することなど、計4項目を定めている。
今回の対応に労働者側委員は、「あくまで例外であって、ふたを開けてみれば大半が適用を受けたということがないよう、労働局への申請時などで厳正にチェックし、指導監督を実施してほしい」と強く求めた。事務局の厚労省は「大原則は19年の新しい統計。一方で、コロナ禍で派遣労働者の雇用は傷みやすい環境にあると認識しており、一定の要件をしっかり確認したうえで今回の例外的な対応を講じたい」と答えた。
このほか、労使協定の趣旨を踏また対応として...
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