厚生労働省が9日発表した毎月勤労統計の8月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は27万3263円(前年同月比1.3%減)となり、5カ月連続で前年を下回った。物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(2015年=100)も84.5(同1.4%減)で、6カ月連続のマイナスとなった。
内訳は、基本給の所定内給与が24万4547円(0.1%減)で、残業代などの所定外給与は1万6617円(同14.0%減)となり、4月以来の5カ月連続の二ケタ減。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う労働時間の減少による残業代の減少が続いている。
就業形態別の給与総額は一般労働者(フルタイム勤務)が35万1378円(同1.8%減)、パートタイム労働者が9万7447円(同1.9%減)だった。パートの残業代が2635円(同17.5%減)で、フルタイムの同14.5%減より落ち込み幅が大きくなっている。
業種別で給与総額の減少幅が大きいのは飲食サービス等の同6.2%減、運輸・郵便の同5.9%減などの一方、不動産・物品賃貸等は同4.6%増、情報通信も同1.5%増と増えた。
総実労働時間は129.0時間(同5.0%減)の減少となったが、残業などの所定外労働時間が8.6時間(同13.1%減)と大きく減少したのが要因。月末の常用雇用者は5139.1万人(同0.8%増)で、パートタイム比率は30.80%(同0.67ポイント減)と7カ月連続で低下しており、4月から本格化している非正規労働者の雇い止めなどが依然として続いているとみられる。