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2020年9月29日

生産性の向上までは道半ば 労政フォーラム「テレワークの課題」

 労働政策研究・研修機構の労働政策フォーラム「テレワークの課題」が29日、オンライン形式で開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大で注目されたテレワークだが、緊急対策として採用した企業が多く、生産性の向上まで含めた常態化には何が必要かを探る試み。

 同機構の池添弘邦・副統括研究員が「在宅勤務の課題」と出して問題提起。同機構が実施した企業調査では、外出自粛規制が敷かれた5月当時の実施率は30%近かったのが、解除後の8月には18%まで下がった結果を踏まえ、テレワークを常態化させるには会社や上司が在宅勤務社員を信頼し、在宅勤務者は自律的な業務遂行の習慣を身につける必要があると指摘した。

 先進的な取り組み事例として、キャスターの中川祥太CEO▽日立製作所の近藤恭子・人材統括本部員▽サイボウズのなかむらアサミ・チームワーク総研シニアコンサルタントの3人が事例報告した。

 キャスターは700人の全社員がフルリモートで就労しているIT系企業で、テレワークの成否について中川氏は、「業務過程や成果の可視化を通じた生産管理が大きなポイントになる」と強調。日立は早い時期からテレワークに取り組んでおり、今回は社員約3万人の9割以上がテレワークを経験したが、効率面では「通勤時間の節約などで上がった人と、IT環境の未整備などで下がった人が半分ずつだった」と解説。来年4月を目標に、「業務内容に応じた在宅勤務の標準化を目指している」と述べた。

 サイボウズは現在、約900人の全社員を対象に「スケジュール登録」以外はすべて各社員の自由に任せる態勢をとっているが、なかむら氏は「そのためにはペーパーレスやオンライン整備、そして仕事の楽しさなどの"感情情報"を共有する仕組みが必要」と述べた。

 パネルディスカッションでは、労働時間管理や勤怠管理など、テレワークの場合はどうすればいいかに議論が集中。「上司と部下の業務の進捗管理が悪いと、テレワークもうまくいかない」(近藤氏)、「テレワークでも部下が意見を言いやすい職場環境が必要」(なかむら氏)、「管理はあまり厳格にせず、雑に突っ込んだほうがいい場合もある」(中川氏)など、さまざまな意見が出たが、最近のテレワークの減少傾向については「雰囲気でやるかやらないかを決めている会社が多いので、政府が政策的な指針を設けるなどすれば、広がる可能性はある」(中川氏)という意見もあった。


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