厚生労働省は21日、都道府県ごとに決める2020年度の地域別最低賃金について、全都道府県の改定額が出そろった、と発表した。今年は新型コロナウイルスの感染拡大によって企業業績が大幅ダウンに見舞われていることから、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)は7月、「現行水準維持が適当」として引き上げの目安を示さなかった。
しかし、今回、40県の地域最低賃金審議会が1~3円引き上げ、全国加重平均では現在より1円増の902円、0.1%の引き上げとなった。10月から順次適用される。今回、3円引き上げたのは最賃の水準が低い青森、岩手、山形、徳島、愛媛、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の9県。最も高い東京都は引き上げを見送って1013円のまま、大阪府も見送って964円に据え置いた。このほか北海道、静岡、京都、広島、山口の5道府県も据え置いた。神奈川県は1円上げて1012円とした。
今回の引き上げで秋田県などの最低地域は792円となり、東京都との差は221円、21.8%となり、昨年の223円、22.0%から少し縮小した。
最低賃金は16年度から4年連続で3%以上の大幅引き上げが続いたが、今回は新型コロナの影響で足踏みした。04年度に平均1円の引き上げがあったが、それ以来の低水準。04年当時は44都道府県が引き上げており、今回はそれをさらに下回った。