日本人材派遣協会(田﨑博道会長)と連合(神津里季生会長)は28日、新型コロナウイルス感染防止などを踏まえた派遣労働者の安心・安全や適正な処遇確保を推し進める「共同宣言」を取りまとめた。派遣協と連合は2010年以降、派遣労働者が安心して働くことができる環境整備に向けて継続的に対話を重ねており、今回の共同宣言は10年、16年に続いて3回目となる。
共同宣言では、派遣協が労働力の需給調整という重要な社会的機能を担う事業者団体として、連合が労働組合のナショナルセンターとして、「労働者の視点に立ったウィズコロナ時代における新しい働き方の確立」などに取り組むことを明記した。具体的には、派遣協が今春施行された同一労働同一賃金に関する法律の順守をはじめ、雇用確保と就業機会の創出。また、派遣社員の適正処遇の推進とキャリア形成支援をさらに促進する、と強調。連合は、就業形態にかかわらず誰もが自らの能力を発揮し、適正に評価される職場環境の実現などに注力することを盛り込んだ。
連合会館で開いた共同宣言・意見交換のテーブルには、派遣協の田﨑会長ら7人=写真中=、連合は相原康伸事務局長ら幹部10人=写真下=がついた。それぞれが社会課題の打開や改善に向けた活動や取り組みを報告した後、幅広く活発に意見を交わした。
今回の共同宣言の締結について田﨑会長=写真上・左=は「派遣法など今春施行された改正法に対応すべく準備を進めてきたが、そこに新型コロナが襲いかかり緊迫感が漂っている。協会の役割を果たすべく、共同宣言を次なる活動のエネルギーとしたい」と力を込めた。相原事務局長=写真上・右=は「時代の転換期にあり、就業形態にかかわらず働く人は不安の中にあると認識している。将来に向けて新しい方向感を共有する大事な場面であり、互いの活動に敬意を表し合いながら働く人たちの期待に応えていきたい」と述べた。
派遣協と連合は、法整備に関連した共同宣言のほかにも、19年に長時間労働の是正に向けた宣言も締結している。