東京商工リサーチが7日発表した今年上半期(1~6月)の高齢者福祉・介護事業の倒産は58件となり、介護保険法が施行された2000年以降では昨年の55件を上回り、3年連続で上半期の最高を更新した。負債総額は61億2000万円(同44.3%減)と減少したが、昨年は大型倒産があったため。負債1億円未満は46件で、全体の8割を占めている。
タイプ別では、「通所・短期入所」型が競争激化と利用者の伸び悩みで18件と、昨年より5件増えた。ヘルパー不足が深刻な「訪問介護」型は31件で、昨年より1件減ったものの依然として高水準。
原因別では「売り上げ不振」が35件で最も多いが、15年以降に設立した業歴の浅い施設が18件あった。規模では従業員5人未満の零細施設が35件を占めている。新型コロナウイルス関連は1件にとどまった。
厚労省は新型コロナで影響を受けている短期入所介護事業者への加算、在宅介護サービス事業者への助成金、介護現場の感染防止にかかる経費の助成など、支援を充実させていることから一定の倒産抑制の効果があったとみられる。しかし、同社は下半期の増加を予想しており、「17年と19年に記録した過去最多の年間111件を上回る可能性が強まっている」としている。