厚生労働省は26日、新型コロナウイルスの感染対策下で派遣労働者の雇用安定を図るため、派遣元業界団体の日本人材派遣協会、日本生産技能労務協会、NEOAの3団体と派遣先業界団体の経団連、日本商工会議所など4団体に対して、加藤勝信厚労相名で雇用維持を要請した。5月末または6月末で有期契約が満了となるケースが多いため、雇い止めなどの大量現出を防ぐのが目的。
派遣元団体には、(1)契約解除や不更新は派遣労働者の雇用の不安定に直結することを認識し、派遣先と協力しながら、可能な限り契約更新を図る(2)契約解除や不更新があった場合でも、労働者派遣法などで定める雇用安定措置義務を適切に果たす(3)就業機会が確保できない場合でも、雇用調整助成金の特例措置の拡充や、新たに創設した個人給付制度の活用を通じて、休業や教育訓練などを実施する(4)社員寮などに入居している派遣労働者については、離職後も一定期間は入居を配慮する――などを要請した。
派遣先に対しても、(1)安易な契約解除は控え、可能な限り契約更新を図る(2)契約解除・不更新の場合でも、指針に基づいて関連会社での就業など、新たな就業機会の確保を図る(3)社員寮入居者らについては、離職後も可能な限り一定期間の入居を配慮する――などを要請した。
コロナ感染防止のために多くの経済活動が止まり、雇用形態を問わず不安が高まっている。25日に政府の緊急事態宣言が全面解除となったが、回復は段階的に進むとみられることから、雇用への影響は予断を許さない状況となっている。