参院本会議は31日、企業に70歳までの就業機会を作るよう努力義務を課すことや大企業に中途採用比率の公表を義務付けることなどを盛り込んだ「雇用制度改革関連法」を賛成多数で可決、成立した。予算案件の雇用保険法に、高年齢者雇用安定法や労働施策総合推進法など6本の改正案を束ね、政府が一括上程していた。21年度中に施行となる。
改正高年齢者雇用安定法の柱は、70歳までの就業機会の確保。企業に(1)雇用による支援として、定年廃止や70歳までの定年延長、他社への再就職の実現(2)雇用以外の支援として、定年後または65歳までの継続雇用終了後にフリーランスや起業した人との間で70歳まで業務委託契約を締結――などを求める。スタートは努力義務だが、将来的には義務化したい考えだ。
また、改正労働施策総合推進法では、従業員301人以上の大企業を対象に、中途採用の比率公表を義務付ける。政府は求職者と企業側のマッチングを促す効果が期待できる、としている。大企業に根強く残る新卒一括採用の仕組みを見直し、就職氷河期世代やシニア層の中途採用に加え、経験者採用の拡大を図る。
改正雇用保険法は、現役時代に比べて賃金が大幅に下がった60~64歳の高齢者に、その穴埋めとして支給する「高年齢雇用継続給付」を25年度から段階的に縮小する。