厚生労働省が31日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.04ポイント低下の1.45倍となった。都道府県別(就業地別)では福井県の1.99倍が最高で、最低は高知県の1.21倍だった。
有効求人倍率は18~19年初にかけて1.6倍台の高さを続けていたが、19年後半から少しずつ低下し始めて1.5倍台となっていた。20年1月に1.5倍台を切る1.49倍となり、2月は2カ月連続の大幅低下。1.4倍台は17年前半の水準で、求人倍率でみる限り、人手不足に"一服感"がみられる。
新規求人倍率は2.22倍で前月比0.18ポイント上昇。新規求人数(原数値)は前年同月比13.5%減で、業種別では前月と同様に、製造業の同24.7%減、その他サービス業の同21.0%減、生活関連サービス・娯楽業の同18.0%減などが目立った。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)も前月比0.02ポイント低下の1.05倍となった。
2月の完全失業率、前月と同じ2.4%
総務省が31日発表した2月の就業者数は6691万人で、前年同月比35万人増、86カ月連続の増加となった。完全失業者は159万人で同3万人増え、4カ月ぶりの増加となった。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月と同じ2.4%となった。男性が同0.2ポイント悪化の2.6%で、女性は前月と同じ2.2%。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5688万人のうち、正社員は3530万人で前年同月より44万人増。非正規社員は2159万人で同2万人増となり、非正規比率は38.0%となった。非正規のうち派遣社員は143万人で同2万人増加した。
2月から国内で本格化した新型コロナウイルス症の感染拡大が雇用面に及ぼす影響が注目されているが、求人倍率、失業率ともにまだはっきりと表面化していない。求人倍率の低下について、厚労省は「1月から求人票の記載項目が拡充され、求人の提出を見送る企業が増えたため」とみているが、2カ月連続で倍率が大きく低下したことは企業の採用意欲に陰りが出始めているとも考えられる。