東京商工リサーチが5日発表した第2回「新型コロナウイルスに関する調査」(2~4日時点、速報値)によると、「すでに影響が出ている」と回答した企業の比率は54.1%、「現時点では出ていないが、今後、影響の出る可能性がある」との回答が40.6%あり、両者を足した94.8%が企業活動への影響を挙げた。初回調査(2月7~16日)の66.4%からわずか2週間で28.4ポイントも増えており、感染拡大とイベント中止などの対応策が急速に進んでいることが裏付けられた形だ。
ただ、企業規模別にみると、「すでに影響が出ている」企業の比率は大企業の63.9%に対して、中小企業は52.0%。業種別では卸売業が61.6%で最も多かった。また、外国人観光客などが激減している宿泊・旅行業なども59.9%に影響が出ていた。
影響の内容を回答した5497社によると、最も多いのは「イベント、展示会の延期・中止」の51.5%で、「マスクや消毒薬などが確保できない」が51.1%、「商談の延期・中止」も41.6%あった(複数回答)。また、「従業員に感染者、または濃厚接触者が出た」が54社あった。
2月の売上高について回答した2981社によると、前年同月を下回った企業が67.2%あり、減少幅は「1~10%減」が最多の29.6%で、「11~20%」が18.5%で続いた。
この結果について同社は、「感染拡大による企業業績は低迷が始まっている。事業継続が難しい企業には最後のひと押しにもなりかねず、倒産だけでなく休廃業・解散につながることが危惧される」と強い懸念を示している。
今回調査には1万408社から回答を得た。前回の回答は1万2348社。企業規模は資本金1億円以上を大企業、1億円未満を中小企業とした。
一方、帝国データバンクが4日発表した同様の調査(2月14~29日)でも、「すでに影響」が30.2%、「今後影響が出る」が33.2%で、両者を合計すると63.4%。調査時期などから、東商リサーチとほぼ同じ傾向が出ていることがわかる。