改正労働者派遣法の4月施行を前に、日本人材派遣協会の水田正道会長と日本生産技能労務協会の青木秀登会長が6日、東京・大手町の経団連会館を訪ね、円滑な施行に向け協力を求める文書を手渡した。いわゆる「同一労働同一賃金」を推し進める改正派遣法では、「派遣先均等・均衡」か「派遣元の労使協定」のいずれかの待遇決定方式が義務化されるが、派遣労働者の賃金を含む公正な待遇確保には、情報提供など派遣先の十分な理解と協力が重要となる。
2団体は、抜本改正となる派遣法の適正な運用にあたり、一昨年来、それぞれ会員企業に対して法改正の趣旨の周知徹底や指導助言などに注力してきた。また、現行法以上に派遣先企業の理解が不可欠で、改正法第26条第11項においても「派遣先は労働者派遣に関する料金(派遣料金)について配慮しなければならない」と明記されている。関係者への取材を総合すると、直近の動きでは事務系や製造系、いずれかの待遇決定方式を問わず「10~20%の値上げ」で契約更新または交渉が進められている模様だ。
賃金を含む派遣労働者の待遇改善には、派遣元と派遣先双方の認識の共有が重要で、経団連は全国の経営者協会主催の勉強会やセミナーの場で改正法の周知に努めている。要請に対して経団連の労働政策本部は「改正法の趣旨、そして今回の協力依頼を踏まえ、重ねて周知していきたい」と応じた。派遣協と技能協は、7日に日本商工会議所なども訪問して協力を求める。