経団連と連合のトップによる意見交換会が28日、都内で開かれ、2020年春闘が事実上スタートした。2月中旬から大企業を中心に労使交渉が本格化し、3月11日の集中回答日に向けて攻防を展開する。
経団連の中西宏明会長は、終身雇用、年功賃金などの日本型雇用について、「(制度を)かなり直さないと立ち行かないところが出てきた」と述べ、日本型雇用の見直しに言及。賃上げについても、日本の賃金水準が先進国では低いことを認めながらも、「業務内容や成果など、個々の実情に応じて決めるべきだ」と一律の賃上げに消極的な姿勢をみせた。
これに対して連合の神津里季生会長は、雇用の見直しに一定の理解は示しつつも、賃上げに対しては労働者全体の底上げ、底支えを目指す立場から、「賃上げのうねりが社会全体のものになっていない。格差拡大を防ぐため、月例の賃上げにこだわる」と述べ、2%程度のベースアップを目指す考えを明らかにした。
労使ともに、雇用の見直しや賃金アップに対する基本的な考えに大きな違いはみられなかったが、賃上げ方法については依然として違いがあり、今年の春闘でも大きな焦点になりそうだ。また、雇用の見直しについては、春闘という“短期決戦”の場で十分な意見を戦わせることは厳しいことから、年間を通じた労使交渉のテーマになるとみられる。
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