日本人材派遣協会(水田正道会長)の「2020年新春セミナー」が21日、東京都内で開かれ、全国各地の会員企業から約350人が参加=写真。講師を務めた厚生労働省職業安定局の松原哲也需給調整事業課長が、最新の労働法制の動きや要所を説明した。
松原氏は、「労働行政の動向について」と題して講演。昨年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」の全体像や意義をはじめ、施行まで約2カ月に迫った同一企業内における同一労働同一賃金、抜本改正となる労働者派遣法などのポイントを解説した。加えて、職業紹介に関する労働法令違反企業の求人不受理(3月30日施行)やパワーハラスメント防止義務(6月施行)、賃金請求権の時効延長(4月施行予定)についてもポイントを説明した。
そうした労働法制全体の動きを捉えたうえで、松原氏は「同一労働同一賃金の趣旨を踏まえて事業者が派遣社員の待遇改善にどう対応していくか、しっかり見ていきたい。AI(人工知能)が急速に進化する中、人材ビジネスのサービス内容も激変していくと予想されるが、労働関係法令の知識を高めて社会的役割と責任を持ち続けてほしい」と強調した。
続いて、同協会の松坂彰子事業部長が、会員企業の事業運営をサポートする派遣協のさまざまな活動について報告した。
新春セミナー後の賀詞交歓会で水田会長は、「働く人たちに支持を頂けるかが最も大切であり、4月施行の改正派遣法はその試金石となる。賃金を含む派遣社員の待遇をあげていくため、派遣先と真摯に丁寧に交渉し、2030年を見据えた人材サービス事業のあるべき姿を示していこう」と呼び掛けた。
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