東京商工リサーチが9日発表した2019年の「人手不足」の関連倒産件数は過去最多の426件(前年比39件、10.0%増)、負債総額530億600万円(同10.7%増)に上り、13年の調査開始以来の最多件数を記録した。
要因別では、経営者らの死亡・入院などによる「後継者難型」が270件(同8件減)で最も多かったが、人材確保が困難な「求人難型」が78件(同19件増)と32%増えた。賃金アップなどのコスト増による倒産も34件(同8件増)と増えた。
業種別ではサービス業が128件(同22件増)で最も多く、建設業の77件(同6件減)、「卸売業」の52件(同11件減)、「製造業」の48件(同15件減)が続いた。
同社は、「収益力がぜい弱で、事業承継をスムーズにできない中小企業特有の課題が重くのしかかっており、当面、人手不足の動向に目を離せない状況が続く」とみている。
一方、帝国データバンクが同日発表した昨年の「人手不足倒産」も185件(同32件増)、負債総額326億8800万円(同46.1%増)と4年連続で過去最多件数を更新した。業種別ではサービス業が54件で最も多く、建設業が49件で続いた。
帝国データは、人手不足倒産を負債1000万円以上で、従業員不足による収益悪化などが要因となった場合に限定して集計した。