アデコは3日、都内でプレスセミナー「2025年を見据えた『シニア人財活用』のあり方」を開き=写真・上=、人事管理の専門家である今野浩一郎・学習院大学名誉教授=写真・下=が「シニア人財の活用と活躍~企業と個人に『求めること』」と題して講演した。また、アデコ執行役員の平野健二・ジェネラルスタッフィングCOOが、働くシニアと企業の人事担当者を対象に実施した独自調査を基に、課題や企業環境のあり方などを提言した。
日本の少子高齢化は世界で類をみないスピードで進み、2025年には3人に1人が65歳以上になるとの予測がある。今野氏はかつての日本は小売業や農業など定年のない自営業的な働き方が専らであり、「60歳+年金」というサラリーマン全盛時代から、再び生涯働く「自営業主型働き方」へ回帰していく、と予測。そのうえで、企業は「シニア社員をどう活用するのか」、働く人は「高齢期を視野にどう働くのか」について、双方とも避けて通れない現実に本気で向き合う必要性を強調した。
これを前提に、新たな人事管理構築の観点から、自社の現状確認や配慮すべき点、賃金を含む活用と処遇のポイントを事例を交えながら解説。企業規模や業界特性で新たな人事管理のあり方は多様としつつ、「人事管理を転換する際には高齢社員の納得性の確保が大切」と説いた。また、働く側に対しては、「キャリア転換・役割転換に伴い、求められる『働く意識・行動と能力』が変わることを認識すべき」とアドバイスした。
続いて、平野氏が働くシニア(60~69歳の男女)400人と、企業担当者400人を対象にした調査結果を発表。「働くシニアは職場と仕事に対する満足度は高いが、半数以上が給与に不満」「シニアを雇用している企業の多くが、シニア雇用によるメリットを実感している」との特徴があったことを説明し、「福祉的雇用の考え方から抜け出せておらず、先入観のアップデートが不可欠」などと提言した。
講演と調査結果の説明後には、両氏がそろって参加した記者たちと活発に質疑応答を交わし、「シニア人財活用」の意義について理解を深めた。