東京商工リサーチが9日発表した2019年「上場企業の希望・早期退職」実施状況によると、今年1~9月に希望・早期退職を募集した企業は27社、対象人数1万342人となった。社数は昨年1年間の12社を大きく上回り、14年の32社に迫る勢い。人数は6年ぶりに1万人の大台を超えた。
業種別では、業績不振の目立つ電気機器が8社で、次いで製薬4社、卸売3社。最多企業は富士通の2850人で、ルネサスエレクトロニクスが約1500人、ジャパンディスプレイが約1200人で続いた。
理由は赤字、減収減益などの業績不振が18社で最も多いが、アステラス製薬、中外製薬、カシオ計算機、キリンHDなど、業績が堅調でも先を見据えた「先行型」の募集も目立ち、対象はバブル期に大量入社した40~50代社員が中心とみられる。
一方、同社が8日に発表した19年度上半期(4~9月)の「人手不足」関連倒産は202件、負債総額256億6000万円だった。前年同期に比べ17件、6億3300万円減少した。
タイプ別では、最も多い「後継者難」が122件(同37件減)と減った半面、「求人難」が39件(同4件増)、「従業員退職」が27件(同15件)と増えたのが特徴だ。