労働政策研究・研修機構は30日、都内で労働政策フォーラム「労働時間・働き方の日独比較」を開いた=写真。働き方改革のモデル国とも言われるドイツと比較することで、日本の課題などを浮き彫りにするのが狙い。
中央大学大学院(ビジネススクール)の佐藤博樹教授が「誤解の多い働き方改革」と題して問題提起し、残業削減だけでは課題解決にならず、企業などの「残業依存体質」の解消こそが解決への道であることを強調。同機構の高見具広副主任研究員も「“働きすぎ”の今日的課題」として、残業時間だけを減らしたり、社員の自主裁量に任せたりすると、長時間労働を招きかねない日本企業の問題点を挙げた。
ドイツから元ドイツ連邦労働裁判所裁判官のフランツ・デュベル氏が、第4次メルケル政権の労働社会政策である「“良き労働”プログラムとその実現」と題して、目玉政策のブリッジ・パートタイム法、長期失業者向けの参加機会法などについて解説した。
パネルディカッションでは、佐藤教授をコーディネーターに、日独両国で注目されている「モバイル勤務」で意見交換。濱口桂一郎同機構研究所長が「日本では仕事と生活の境界が曖昧になり、長時間労働の歯止めが掛からなくなる可能性がある」と指摘。これに対して、デュベル氏は「健康管理上から労働時間の限度を決める必要はある」と述べたが、この日の主要テーマだった「日独比較」は時間切れに終わった。