みずほ情報総研は27日、都内でフォーラム「シニア社員の働き方を考える」を開いた=写真。高齢者が意欲的に働き続けることのできる社会の構築を考えるのが狙い。学習院大学の今野浩一郎名誉教授が「シニア社員をいかす人事管理」と題して基調講演。日本の労働力は約5人に1人が60歳以上の社員で占められ、現在の主流である60歳定年制から生涯働く「自営業主型」の働き方になると予想した。
同総研の古川みどり氏が、定年前後の処遇変化を抑制している企業にみられる特徴をまとめた企業調査、加藤修氏が定年に伴う役職低下・逆転に関する管理職調査結果をそれぞれ発表した。
先進事例として、IT系のSCSKの和南城由修・人事企画部副部長と外食系のすかいらーくの高橋真一郎・人財本部人財企画・運用グループリーダーが、自社の取り組みを説明した。
SCSKは昨年、2013年に導入した「実年キャリアプラン」を改定し、「シニア正社員」制度の導入に踏み切った。60歳定年制を維持しながら、60~65歳のシニアと新たな正社員契約を結ぶ制度で、「IT業界の深刻な人手不足に対応した」(和南城氏)という。
すかいらーくは15年から65歳までの定年延長に踏み切り、60~65歳の間はいつ退職しても定年扱い。さらに75歳までは「クルー」と呼ぶ非正規で再雇用している。こちらも人手不足に対応するのが目的で、「それまでの“福祉型”雇用から、本格的な戦力として処遇している」のが共通点だ。