2019年春闘は13日に集中回答日を迎え、大企業メーカーを中心に労働組合の賃金要求に対する回答が出た。基本給の水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)は、6年連続で実施する企業が多かったものの、上げ幅は軒並み前年を割り込んだ。今後、回答が本格化する中小企業にどのような影響を与えるか注目される。
自動車業界では、3000円のベアを要求したホンダが前年より300円下回る1400円の回答。日産自動車は3000円のベア要求に満額回答した。トヨタは定期昇給や各種手当を含んだ月1万2000円の要求に対し、1万700円の回答を出した。トヨタは昨年の回答で経営側がベアを公開せず、今年は労組側も公開をやめている。
電機業界は、統一交渉に臨んだ日立製作所やパナソニック、三菱電機など主な12社が、前年実績を500円下回る月1000円で決着している。12社の要求はいずれも3000円だった。
経団連の中西宏明会長は、安倍晋三首相の賃上げ要請に応じる「官製春闘」から脱却したい姿勢を鮮明にしていた。14年の春闘から5年連続で、ベアの具体的な上昇率にまで言及されてきたが、今回は中西会長の意向に配慮し、安倍首相は踏み込んだ発言をしていない。
連合の神津里季生会長は同日、「経営側は賃上げの要求に一定の理解を示しつつも 、経済や事業の先行き不透明感、過去5年間の賃上げによる賃金水準の上昇などを理由に慎重姿勢を崩さず、例年以上に交渉は難航した」と総括したうえで、「本日までに示された回答を土台に、続く中堅・小組合はもとより、未組織を含めたすべての働く者の賃金引き上げに確実に波及させていく」とのコメントを発表した。