厚生科学審議会の難病対策委員会(千葉勉委員長)と小児慢性特定疾病児支援委員会(五十嵐隆委員長)の合同委員会は20日、難病・小慢患者のデータベース(DB)の提供に関するガイドラインと審査会の設置について、事務局の厚生労働省案を了承した。データ提供は4月から開始される。
医療関係のデータベースでは、すでにレセプト情報や特定健診情報などが毎年公表され、「NDBオープンデータ」として活用されているが、難病・小慢データのガイドラインはNDBデータのガイドラインを基に、患者・家族の同意、利活用機関の制限、利活用目的を審査する専門家による審査会の設置など、より厳格化している。
データベースは医療費助成を受ける患者について、医療機関が提出する「臨床調査個人票」が基本データになるが、希少難病になるほど個人が特定されやすいなど、難病特有の事情から、個人情報の保護に力点を置いたのが特徴。データ提供先も厚労省や文部科学省の傘下機関や研究グループに制限し、それ以外は個別案件ごとに審査会が可否を決める。
難病・小慢患者は患者数が少なく、原因の特定がむずかしいことなどから、治療研究が困難な疾病が多い。今回、データベースの利活用が制度化されたことから、治療研究が進む疾病が増えるものと期待される。