厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査について、衆参両院の厚生労働委員会は24日、閉会中審査を開き、不正が長年続いた原因などについて質した。根本匠厚労相は「正確性が求められる政府統計でこのような事態を起こしたことを深くお詫びする」と謝罪したうえで、過少給付してきた現在の雇用保険、労災保険などの受給者に対して、3月から6月にかけて追加給付する考えを明らかにした。しかし、過去の受給者については作業の手間がかかるため、「しばらく時間をいただきたい」と述べるにとどまった。
同省によると、過少給付の対象者は約2015万人に及ぶが、現在の受給者は80万人程度。残る多数の過去の受給者については、対象者の住所がわかっていないことなどから、追加給付にはシステム改修が必要になり、時間がかかるとみられている。
質疑は主に同省の特別監察委員会が22日に出した報告書をベースに行われた。報告書が「組織的な隠蔽は認定できない」としたことに対して、野党側の委員は口をそろえて「組織的隠蔽ではないか」などと追及したが、厚労省側は否定した。
また、昨年6月の「現金給与総額」の伸び率が3.3%増に跳ね上がって話題を集めたが、修正後は2.8%増に下方修正されたことに対して、総務省の統計担当者は共通の事業所を比較した参考値として出された「1.4%増が適切」との認識を示した。
これらを受けて、野党側委員は「伸び率を高く見せる賃金偽装、アベノミクス偽装ではないか」(山井和則氏)、「アベノミクスの成功を印象づけるために、厚労省で数字を操作したのではないか」(福島瑞穂氏)と追及したが、根本厚労相は3.3%増の数字が「間違い」だったことさえ明確には認めなかった。
衆参とも厚労省側の“ノラリクラリ戦術“が目立ち、野党側の不満は増幅。28日からの通常国会でも、この問題が尾を引きそうだ。