厚生労働省は23日、不正調査のあった毎月勤労統計の2012~18年分を修正、発表した。現金給与総額の名目賃金はすべての月で上方修正され、不正調査時との乖離幅は0.2~1.2%。14年当時は0.5~1.2%と大きく乖離したが、その後は縮小し、18年はほぼ0.3~0.4%程度になっている。この結果、各月の前年比は不正調査時より縮小し、18年の場合、0.6~3.3%から0.2~2.8%にすべての月で下方修正された。
同様に、名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(15年=100)も軒並み低下し、18年の場合、83.3~141.0から83.1~141.0と全月で0.1~0.3%の下方修正となった。名目、実質とも修正は12年分以降で、それ以前の04~11年分のデータは原資料の廃棄などによって修正は不可能としている。
これに先立つ22日、厚労省が設置した特別監察委員会(樋口美雄委員長)が不正の経過などを調査した報告書を公表したが、不正は担当職員レベルにとどまり、「組織的な隠蔽は認定できなかった」と結論づけた。これを受け、厚労省は鈴木俊彦事務次官ら22人に対して訓告、減給などの処分を行い、元職員にも給与の自主返納を求めるなどした。
この問題は国会でも取り上げられ、24日には衆参両院で閉会中審査が行われる予定。政府・与党はそれで幕引きにしたい意向だが、野党側は根本厚労相の管理責任なども追及するとみられ、28日開会の通常国会になだれ込むのは必至の情勢だ。