労働政策研究・研修機構(樋口美雄理事長)は23日、都内で労働政策フォーラム「高齢者の多様な就労のあり方」を開いた=写真。OECD(経済協力開発機構)が昨年、日本向けに発表した「生涯を通じたより良い働き方に向けて」報告を受けたもの。
冒頭のあいさつで、樋口理事長が厚生労働省の「中高年縦断調査」を基に、サラリーマンの退職時期や理由などを解説。濱口桂一郎同機構研究所長が戦後を中心にした雇用システムの変遷を概観した。
OECD雇用労働社会問題局のマーク・キース氏が同報告の内容をレビューした。キース氏は、日本の高齢者就労の課題として労働力人口の減少、定年退職への不安定移行、高齢者スキルの不活用、仕事の質の低さなどを挙げた。そのうえで、定年制と年功賃金の見直し、労働市場における正規と非正規の二重性への対応、すべての労働者の能力向上に向けた職業訓練の参加格差の縮小などを提言し、「すぐ行動を起こすべきだ」とゲキを飛ばした。
この後、高齢者活用の先進事例としてセブン-イレブン・ジャパンの真野義昭氏、大和ハウス工業の菊岡大輔氏、高齢社の緒形憲氏といった人事担当者やトップが自社の取り組みを説明。同機構の中山明広統括研究員が地方自治体における高齢者活用を報告した。
真野氏は、顧客に高齢者が増えていることから、加盟店オーナーにシニア層の参加を増やすよう努めた結果、60歳以上のオーナーが約1200人にのぼったことを報告。菊岡氏は、法制度の改正に先立って導入した65歳定年制や65歳以上の再雇用制度「アクティブ・エイジング制度」について解説し、高齢社員のモチベーションをどう維持しているかを述べた。緒形氏は、年金併用の高齢者派遣制度をどうやって軌道に乗せたかを述べ、「働く場といきがい」の提供がカギになることを強調した。