就労目的の外国人受け入れを拡大する来年4月の新たな在留資格創設に向け、政府は25日、新制度の方向性を示した「基本方針」と、受け入れ14業種の上限人数などを記した「分野別運用方針」を閣議決定した。また、関係閣僚会議で、共生社会の実現に関する施策を盛り込んだ「総合的対応策」も決めた。今後、制度の詳細を定める法務省令の策定に入る。政府は制度の枠組みを急ピッチで整えた格好だが、業務・業種ごとの技能試験や現場での具体的な運用方法など、施行までに万全な準備と体制づくりが間に合わない事項もあると見込まれ、初年度は実質的に“試運転”となる。
新たな在留資格として「特定技能」の「1号」と「2号」を設ける。「特定技能1号」は、「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に与えられ、在留期限は最長で5年。また、「特定技能2号」は、「熟練した技能」を有する外国人に与えられ、在留期限が更新できるため、条件を満たせば長期の滞在や家族の同伴が可能となる。運用は「1号」のみでスタートする。
来年4月の施行時点における受け入れ業種は、
▽厚生労働省=介護業、ビルクリーニング業
▽農林水産省=農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
▽国土交通省=建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業
▽経済産業省=素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業
――の14業種。政府は2019年度から5年間の受け入れ人数の上限を約34万5000人としているが、当面は3年の実習期間を終えた外国人技能実習生からの無試験での移行が中心となる。
受け入れはベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴルの9カ国。新制度が運用される中で受け入れ国や業種を拡大していくとみられる。また、政府は賃金の高い都市部に外国人が集中するのを防ぐため、地域別や業種別の外国人の数を定期的に公表する方針だが、効果的な対応策は今後の課題として残る。