人材サービス産業協議会(JHR、水田正道理事長)は14日、中途採用の代表的な職種別年収や最新の傾向などがわかる「転職賃金相場2018」を発表した。JHRに参画する人材紹介事業者と求人情報提供事業者(求人メディア)による業界を横断したデータを基に調査・分析。求職者には提示された年収が適正かどうかを判断する目安として、求人企業にはより良い人材の確保に必要な条件の参考となる。
昨年に続き2年目となる同調査は、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、東海(愛知・岐阜・三重)、近畿(大阪・京都・兵庫)を対象エリアに、今年4月~8月を調査期間とした。各社の正社員中途採用求人広告と求人依頼件数の上位職種に共通する13職種(経理財務やエンジニアなど)に加え、人手不足が深刻な4職種(介護など)を選定。延べ10万件の人材募集時の年収データから相場を算出し、参考情報として年収層ごとに転職が決まった人の特徴も記している。調査・分析には、中央大学大学院(ビジネススクール)の佐藤博樹教授が協力した。
今回の調査によって、「全体的に最低年収額が底上げされた」「販売・飲食系店長(店長候補含む)の最高額が全エリアにおいて上昇した」「東海エリアにおいて、IT、エンジニア関連職種の最高額が上昇した」などの変化がみられたほか、「年収600万円以上では管理職経験が求められることが多い」「経理財務など企業に共通する汎用的な職種では転職回数が比較的多い傾向にある」「営業、管理部門系の職種では技術系職種に比べて年収の幅が大きい」といった傾向がみられた。
JHRでは「健全かつ円滑な労働市場の形成」を掲げており、転職賃金相場の公表によって、求職者が「自分のスキルや経験にあった年収イメージを持てる」「希望する処遇を得るために必要なスキルや経験がわかる」、求人企業は「欲しい人材を獲得するために必要なコストをイメージできる」「在職者に適正な処遇ができているかどうかを確認できる」と双方の活用メリットを強調。さらに、人材サービス事業者にとっても「求職者の希望するキャリアに必要な助言や支援ができる」「求人企業に対して客観的な情報に基づく提案ができる」などの効果を挙げている。