日本生産技能労務協会の物流部会(道上良司部会長)は12日、都内で第5回「物流人材サービス特別セミナー」を開いた=写真。全国各地から物流人材事業に携わる現場担当者と発注先である企業関係者ら約250人が参加。講演を通じて実務につながる労働法制の最新動向などをつかみ、業界のけん引役としてコンプライアンス意識のさらなる向上と知識を高めた。
物流部会は、技能協(青木秀登会長)の全面的なサポートを受け、2014年に業界8社でスタート。年々、加盟社が増えて現在は19社が参画している。冒頭、道上部会長は「今年は各地で水害や地震といった自然災害に見舞われ、復旧、復興、物資輸送などに物流が果たす社会的インフラの重要性をあらためて認識した」と強調したうえで、「長時間労働の是正や雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保などを狙いにさまざまな法律が改正され、来春から順次施行されていく。特に、20年4月施行の改正派遣法では物流現場の雇用の実態をしっかりと踏まえた省令、指針が整備されることを期待しており、雇用の安定、処遇の向上に全力を挙げて物流業界の健全な発展を加速していこう」と呼び掛けた。
この日は、東京労働局の近藤麻生子需給調整事業部長と人材業界に精通している安西愈弁護士が講演。近藤部長は「労働力需給調整事業の現状と課題」と題して、東京労働局管内の指導監督の特徴や最近の物流業界に絞った行政処分の事例を挙げて解説した。また、職業安定法改正に伴い今年1月から施行されている労働者を募集する際の労働条件の明示に関するポイントや、働き方改革法の要所を分かりやすく説明した。
安西弁護士は「働き方改革法と今年6月の最高裁判決が物流人材サービスの人事労務管理に与える影響と実務対応」と題し、(1)働き方改革法のめざすところ、(2)今年9月30日以降に派遣元・派遣先が直面する問題点と対策、(3)いわゆる同一労働同一賃金をめぐる法改正の問題――の視点から、現場実態に即して具体的に踏み込んだ説明をした。
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