労働政策研究・研修機構(JILPT)が11日発表した「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」によると、「限定正社員」を導入している企業の半数が「定着率の向上に効果がある」と回答した一方で、当の限定正社員の3割が賃金などの不満を抱えていることがわかった。
勤務地などを限定する限定正社員がいる企業の割合は20.4%で、78.9%はいなかった。さらに、社員対象の調査では限定正社員が7.1%で、正社員が92.6%を占め、広く企業全体に浸透している様子はなかった。限定の内容は勤務地限定が8割以上を占めた。
限定正社員を導入した過去5年の効果(複数回答)として、企業側では「人材の定着率が高まった」が54.7%で最も多く、「社員のワーク・ライフ・バランスが向上」(49.7%)、「人材が採用しやすくなった」(48.9%)が続いた。
社員調査では、「不満」のある人は31.1%で、ない人が61.2%と大きく上回ったが、不満の内容(複数回答)では「不合理な賃金差」が56.6%でダントツに多く、「不合理な昇進スピードの差」は33.5%にとどまった。
調査は今年2月下旬、100人以上企業1万2000社と正社員9万6000人を対象に実施。2260社、1万2355人から有効回答を得た。