政府は28日、障害者雇用数を中央省庁が水増ししていた問題で、国の33行政機関を対象にした昨年6月1日時点の再調査結果を公表した。8割にあたる27機関で従来公表の6867.5人から3460.0人の障害者数の不適切な算入があり、実雇用率も2.49%から1.19%と半分に減少。当時の法定雇用率2.3%を大きく下回る結果となった。この日開いた関係閣僚会議で示された。
最も水増しが多かったのは国税庁の1022.5人で、国土交通省の603.5人、法務省の539.5人が続き、雇用率は各0.67%、0.70%、0.80%になる。いずれも、障害者手帳の保有者以外の軽症者を中心にした障害者を雇用していた。
水増しは地方自治体でも相次いでおり、政府は全国調査に乗り出す方針。原因究明と再発防止策に向け、この日、関係府省の連絡会議(議長・加藤勝信厚労相)を設置し、10月にも対応策をまとめる方針だ。
雇用率に算入できる障害者は厚労省がガイドラインで定めており、原則として身体障害者手帳、知的障害者の療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人が対象。今回の水増しは、省庁から厚労省にガイドラインの解釈について問い合わせがあったことをきっかけに発覚した。
菅義偉官房長官は記者会見で、「民間に率先して進めていく立場としてあってはならない。重く受け止め、深くおわび申し上げる」と陳謝。「原因究明と再発防止策を行うことが重要で、チェック機能の強化など再発防止策をとりまとめていきたい」と述べた。
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